もうひとつの美術館

展示スケジュール2009Exhibition Schedule

愛しのナナ
ニキ・ド・サンファル

2009.9.12 - 12.6

ニキ・ド・サンファル(表)
ニキ・ド・サンファル(裏)
人を愛することは、ときに傷つき、ときに悲しい。そんな思いを、母性の象徴である「ナナ」の創造と絵手紙の創作によって、ニキ・ド・サンファルは自己を制御し、そして苦しみから開放してゆきました。日本で初公開の絵手紙などを含めて、ニキ・ド・サンファルの版画を中心にご紹介致します。

 この展覧会は日本で初公開の絵手紙などを含めて、ニキ・ド・サンファルの版画を中心にご紹介致します。
 ニキ・ド・サンファルは、1930年パリに生まれ、3歳の時アメリカに移住しました。厳格なカトリック教育により、家庭、学校、社会の抑圧と偽善に悩みながら18歳でモデルを始め、「ライフ」「ヴォーグ」などの一流雑誌の表紙を飾るなど活躍し、19歳で結婚。1953年重度の神経衰弱を病むが絵を描くことで回復し、正規の美術教育を受けていませんが、芸術家として生きることを決意します。また、家族との旅行で、ガウディの幻想的な建築群「グエル公園」や郵便配達男シュヴァルが生涯をかけて建てた「理想宮」と出会い、衝撃を受けました。特に「グエル公園」はのちのニキの芸術の重要なインスピレーションの源となりました。25歳の時、同じ芸術家の仲間として、後に終生の伴侶となる彫刻家ジャン・ティンゲリーと出会います。
 30歳で離婚したニキは、31歳に「射撃絵画」で衝撃的なデビューをしました。そして、その後、自分とは?、女性とは何か?、自身のアイデンティティを模索し始めました。そして、友人の妊娠がきっかけとなり、それまでとは異なった力強い女性像「ナナ」が誕生します。35歳のニキによって「ナナ」と名付けられた、自由奔放な姿で喜びに溢れた女神たちは、しだいに原始の母、普遍的な母のイメージへと変化していきます。
 ニキが版画を手がけるようになったのも、同じく35歳の頃でした。ニキの版画はナナの丸みをもったフォルムとのびやかな姿、明るい色の組合せによって、独特な作品となり、立体作品同様、広く人気を得ていきました。
 38歳で初めて製作された絵手紙の版画は、ニキの創作活動に欠かせない重要な表現方法となっていきます。版画製作は、心の中の思いや想像をそのまま表現することができるものであり、ニキはその表現を通じて、自己の心の苦しみや痛みを解放していきました。
 41歳でニキはジャン・ティンゲリーと再婚をし、共同制作にて多くの立体作品を手がけていきます。また自身の展覧会や演劇や映画など多くのポスターも手がけています。そして、1976年(46歳)永年の夢であるタロットガーデンの設計を始め、途中ティンゲリーの没後(1991年)も続け、67歳にて完成させました。大作の製作に挑みながら、71歳にアメリカにて死去しました。

◆出展作家
ニキ・ド・サンファル
 
会  期 2009年9月12日(土)— 12月6日(日)
開館時間 10:00〜17:00(入館は16:30まで)
休 館 日 月曜日・火曜日休館(ただし休館日が祝日の場合や予約団体には開館します。)
入 館 料 大人 600円、大学生 500円、小中高生・70歳以上・障害者・重度の方付添い 300円
団体20名以上 10%引(要予約)
主  催 特定非営利活動法人もうひとつの美術館
助  成 日本郵政年賀寄附金助成、とちぎゆめ基金
協  力 ニキ美術館準備室、世田谷美術館

*内容などの詳細については、もうひとつの美術館までお問い合わせください。
tel&fax:0287-92-8088 E-mail:mob@nactv.ne.jp